■ 青すぎる春4 ・・・動きはじめた 青過ぎる春
「私も、当麻の事をイイと思っているぞ」
うそ?
ホント?
「両想いになったじゃん。シよう、せーじ〜」
抱きしめたい!
薄闇の中でも、征士は微弱な光を発しているのか、美しくはっきりと見える。
なのに、抱きつこうと動こうとする俺を、光輪の剣が許してくれない。
「シない!だから、動くな」
ワザとらしい間を作った後で、征士は苦笑するみたいに言葉を出した。
「なぁ、軍師殿。無事に勝って生き残った暁には…、ということでどうであろう」
「え・・・」
「思い残すことがあったほうが、しぶとく生き残れそうではないか。
それに、腰痛で戦闘時に隙ができ、死んでしまったら後味悪いぞ」
…腰痛…
「…まぁ、なぁ」
ちぇっ、残念。
と、俺が観念したのを見て、征士は剣を空に帰した。
座り込んで唇を尖らせるてむくれている俺に、征士が近づいてくる。
かがむと、綺麗な金髪が額に触れて―――そっと唇が触れた。
―――私も我慢するのだから、そうむくれるな。
と、照れるように笑った。
「おまっ…襲うぞ!」
「では、もうしない」
「…して下さい」
「また、今度な。しかも、続きはないからな」
釘を刺されてしまった。
そして、征士は時計を見ると「もう3時間しか眠れないではないか」とまた眠りに就いた。
・・・キスダケハ、イイノネ
そして、しばらく、キスだけでもスルほうがいいのか―――生殺しで死にそうだから、我慢したほうがいいのか―――ぐるぐる頭の中で悩んでいた。
どっちも拷問だ!!!
せ〜じ―――!!!(心の叫び)
これに比べれば、妖邪なんか楽勝だ!!!
勝つ!そして、生き残る!
征士とスルために!
いや、あえて、世界を取り戻すために!と言っておこう!
END
幼い2人で、すんません。
ちなみに、この2人には「常識さん」とか「世間さま」はいません。
2011.09.06 UP
by kazemiya kaori