■ 出張の支度 2
 ・・・ 玄関でいちゃいちゃ





「とうま・・・」

名前を呼ばれて、意識が戻ってくる。
と、まだ征士が自分の中にいるのがわかった。
どうやら二人とも、一度は絶頂を迎えたらしいのに。


「まだ…すんの?…」


荒い呼吸が、自分のものか征士のかも分からない。
自分の真上にいる人物は、しっかりと太腿を持ち上げている。


「顔をみてイキたいからな」


のけのけと言って除けるのは、流石というか何というか。
ちょっとの照れと、だいぶの腰のダルさから、眉をしかめる。


「しばしの別れだ。そんな顔するな」
「じゃあ、お好みに変えてみろ」
「望むところだ」


まだ余韻が残っているところを、煽り起てるように。
先ほどの精を胸にすべらせて、左右ともに手のひらで転がしてやる。
と、「んぁっ」といい声が上がった。


ゆっくり動きながら、当麻の表情と肢体を見つめる。
優しい視線に凶悪な雄の欲求を隠して。


一度目で疲れ果てた当麻の身体は、いい具合に力が抜けて素直に反応する。
どこを触っても、刺激しても、いい声が上がった。
それだけでなく、締め付けてくる中が気持ち良くて、思う存分楽しめる――。


―――本当にずっと抱いていたいぐらいだ


2週間---長いのか短いのか・・・。


―――見納めだから、もう少し哭いてもらおう


後は、掠れてしまった当麻の声と征士の荒い息使いだけが広がった。








体力を搾り取られた当麻に、何とかシャワーをさせて衣服を身につけさせる。
先に車に荷物を運ぶ―パッキングしてある衣類などが入ったバックと持って帰った小型のパソコン。


パスポートに財布―以前出張した時の残りのフラン紙幣も入れてある―は、ショルダーに入れて。
そっちは自分の肩に引っかけて、一緒に駐車場に向かう。
向かうというよりは、空いている方の肩を貸している征士が、「持って行った」に近かったが。


車の助手席で早々と横になった当麻の左手をとり、薬指にそっとリングを填めた。
普段はつけないが、長期出張や女性避けが必要な時につけさせられる指輪。
大切な小道具も、もちろん忘れない。


完璧な出張の準備完了。
あとは、成田まで送るだけ。


もう一度、可愛い人の寝顔に微笑んでから、征士はアクセルを踏み駐車場を後にした。


END



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T様に勝手に捧ぐ(笑)

ちなみに、150分2本勝負。勝ったのはどっち?引き分けか?

2011..09.26 UP
 by kazemiya kaori