■ 出張の支度 1 ・・・ 玄関でいちゃいちゃ
帰ってきたら、玄関で襲われた。
「征士!よせって、時間ないの知ってるだろ」
「わかっている。だから早く…」
靴も脱ぐか脱がないかのタイミング。
(かろうじて脱いだ)
待ち構えていた同居人に抱きしめられる。
そして、そのまま壁に押し付けられた。
「そうじゃ、な……ん…」
当麻の抵抗は虚しく、いつもより更に強引な征士に唇を塞がれる。
性急に舌を吸い上げられ、先を舐められる。
---いきなりディープすぎ…
苦しそうにすると、一度解放された。
と近くにある紫の目が見つめている。
不撤退の色。
そして、めっちゃ欲情してる視線。
口ほどに語るとはこの事で。
---…逃げられない…よな…
本来なら明日、昼の飛行機のはずだった。
フランスへの約2週間の学会と現地視察。
その準備が忙しく3日程帰っていなくて。
でも、出発前日の今日は少しゆっくりできるはずだった。
帰らない当麻との連絡は主にメール。(便利な時代になった)
そのやり取りから、一緒に入られる前夜はたっぷりイチャイチャしてから出発…となるはずで。
征士はもちろん、当麻もそのつもりだった。(はず。)
折しも今日は日曜日。
征士は、主夫よろしく朝から炊事洗濯掃除etc全てを済ませ、今か今かと帰りを待っていた。
なのに、帰るメールは…『今から帰る。フライト本日21時に変更』。
時刻15時。帰宅予定時刻は16時。
そのメールを受け取った時のショックといったら…。
「変更とは、ひどい話だ」
「俺のせいじゃない!」
急遽、学会前日のレセプションに出席すると気をかえたのは、上司だ。
「わかっているから…」
「そっちの予定は変えないのかよ」
無理だと言わんばかりに微笑む。
そしてもう一度、宥める様な軽いキスを繰り返す。
そのまま、首筋を舐められると、ぞくぞくしたモノが背筋をあがっていく。
「いやではないだろう」
「・・・そだけど・・・さぁ」
当麻だって、こうゆう状況でなければ征士とスルのは―――好きだ。
・・・ハッキリ言わない事が多いが。
熱っ〜い眼差しも、濃ゆ〜い愛撫も、気持ちイイ。
大きな手が器用にシャツのボタンを外すと、ハリがある白い肌が見え隠れする。
―――いつ見ても、綺麗なものだ
そして美味しそうに眼を細めると、胸へと唇を寄せた。
紅く色付いている所を、そっと啄ばむ。
「……。…」
声にならない息をのむ音が、伝わる。
---やば…感じ…ちまう
しかも、ここのところシていなかったので、余計に敏感だ。
当麻は手にしていた小型のパソコンを落とさないように、ふるえる腕に必死だった。
それに征士が気づいて手に取り、唇を下へ這わせながら、床に置く。
そのまま、ジーンズの釦を外し、下着の中に手を入れる。
固くなりつつあるモノを、手のひらで握り上下に動かす。
「ん…ふ…」
こんな状況で、征士が止めるはずないし、自分もツライ。
でも行為に没頭できないのは…。
「荷物…パッキング……・できて…ない…」
「心配するな。しておいた」
「ふっ」「くくくっ」と、どちらともなく笑いが漏れる。
「…スルため…か…ん…」
「あぁ、だから安心して抱かれろ」
そう言って当麻の身体を壁にむけて反転させて、後ろから腰をホールドする。
自分の指を2本舐めて濡らすと、そのまま当麻の中にぐっっと入れた。
「んん…は…」
息を吐くのを確かめてから、指の深さをかえながら内壁を擦ってみる。
ビクッと震えた所で何度も行きつ戻りつ、刺激を与えた。
すると、面白いほどに細い腰が揺れて―――誘ってくる。
「ぁ…せ…じ…」
「とうま」
横から伺える表情は、とても気持ち良さそうだ。
上気した頬、やや眉をしかめた苦悶の表情、目尻の涙・・・。
もっと見ていたいが、自分も気持ち良くなりたいし、もっと気持ち良くさせる方法を知っている。
するりと下肢の服を脱いで、当麻の奥にあてがう。
それを感じて来るであろう圧迫感に備えて、当麻は意識して力を抜いた。
「あ、あ、くっ…う…」
指とは違う存在感。
何度経験しても―――カンジテシマウ。
更に動かれれば、末端の神経までが「イイ」と伝達を走らせる。
その与えられる快感に、もう身体を支えされず・・・。
手だけでなく肩まで壁に押し付け、何とか立っている状態で。
もう身体の体勢に気を使えず、後ろから与えられる快楽の波に、揺蕩っているのみだ。
征士は放っておいた当麻の欲を手のひらで優しく包んだ。追い打ちをかけるかのように。
動かれる時のソフトなタッチ。後ろからの強い刺激との差におかしくなりそうだ。
一瞬、首をのけ反らせるように振って、意識をつなぎとめようする。
だが、それが余計な刺激を呼んでしまったようで。
ガクガクと膝が震えはじめる。
壁伝いにからずるずると落ちて、ヘタリ込んだ。
同じように屈みこんだ征士が四つん這いにさせて、腰を打ちはじめる。
立っている時より深く抉られて、嬌声が高くなる。
「…も…あぁ…あ…」
涙を浮かべている瞳の焦点はぼんやりしていて。
意識は意思とは関係なく手放されてしまい、ただ声を発し続けていた。
ピンポーンとか宅急便が来たら面白いのに(笑)
2011.09.26 UP
by kazemiya kaori