■ 24点 1 ・・・ 征当編
ゆっくりと当麻の中で律動を繰り返す。
---熱くて気持ちイイ
抱きしめている背中の温度は、そんなに高くないというのに。
その差が当麻らしい・・・と愉快に感じる。
いつも飄々としているのに、ムキになる一面もある…それと似ていると思ったのだ。
そんなギャップがたまらなく愛おしい。
しばらく肌を合わせていないと、寝込みを襲ってしまう程に。
「当麻…」
答えが返らないとわかっていても、その名を呼んでしまう程に。
何度も出入りすると、本人の意識とは関係なく、中はイヤらしく蠢いてくる。
誘われるように、次第に動きが早くなり、息も上がってきて…。
---もうすぐ、イキそうだ
「…ぅん…?…」
眠っていた恋人が微かに身動ぐ。が、もう止まらない。
「!」
快楽の残滓を注ぎ入れ、終わりを迎える。
「…24点…」
「起こしたか?」
どうやら目を覚まさせてしまった恋人に、悪びれる風もなく、問いかける。
「…何してんだよ」
「ナニだな」
下肢に手を伸ばせば、中途半端な状態である事がわかり、優しく撫で上げながら答える。
ちなみに、お互いに上半身は服を身につけている―――即物的な状況。
「ひでぇなぁ」
「酷いのは、お前の方だ。ずっと、ご無沙汰だ。」
その言葉に反応し、眠そうだった青い目が急速に覚醒していく。
「触んな」
触れていた手を邪険に振り払い、腕の中から逃げようと身を捻った。
ずるりと、奥にいた征士が抜け出る。
態度の急変にやや驚きながらも、逃げる身体を追いかけてなんとか抑え込んだ。
「どうした?目覚めたところで、きちんとお相手してもらいたいのが?」
「引っ掻き傷をつけた相手と、してこい。俺に触んな」
逃がさないように抱きしめたまま顔を覗き込むと、その瞳は明らかに険を孕んでいた。
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当麻が研究所からほぼ1週間ぶりに疲れきって帰ってきて、そのまま寝た。
次の朝起きると、一緒に暮らしている相手がうっすらとだか左側の頬から首筋にかけて、引っ掻き傷を付けていた。
見たとたん、愕然とする。
自分にべた惚れで…多少仕事が忙しくて構わなくても浮気なんかしないと思っていた征士が。
どう見ても爪の後・・・。
―――留守中に何してたんだよ!
でも、言葉にはならなかった。
油断と言うのか、予測もしなかった事態にどうしたらいいかわからない。
征士の態度はいつも通りで、何の罪悪感もないらしい。
腹立たしいやら、悔しいやら。
仕事は一段落していたが、極力顔を合わせない生活を送っていたのだ。
そしたら、寝込みをヤられてた・・・。
―――最悪だ。
しかも、うとうとして、気持ちイイとか、感じてしまっていた。
今の状況が不本意で、目の前のヤツが癪に触って仕方がなかった。
何のことかわからないっと言った態でいる奴を、殴ってやろうか蹴ってやろうかと逡巡していた。
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目の前の恋人が、怒りでぶるぶる震えている…。
確かに寝てる時にスルと嫌がられる事もあるが、こんな風に怒った事はなかった。
目覚めた時は「24点」と冗談(?)を言っていたのに。
―――…引っ掻き傷…?
確かに久々に帰ってきてから、ここ2、3日の様子はおかしかった。
引っかき傷で、誤解しているのか?
当麻が帰って来て先に眠ってしまった日。
その寝顔の可愛さと、久々に触れられる嬉しさで、手を出してしまっていた。
ベッドに入り、思わずくちづける。
無防備な唇に触れてしまったら…止められない。
首筋にも鎖骨にも。跡を付けると嫌がるので、舌を這わせて、舐めあげた。
「…ふ…???」
洩れる吐息もたまらない。
もっと煽りたくなり、胸に吸い付き、舌で転がす…。
「おい!」
寝ていた人物の声に顔をあげると、ガリッと引っ掻かれ、膝で蹴られた。
「眠いんだって!邪魔すんな!」
なので、今日は学習して背後から抱きしめていたのだが。
寝込みを平気で襲うウチの征士さん。
2011.09.22 UP
by kazemiya kaori