当麻&征士 Love Valentine 2014
「ニゼロイチヨンゼロニイチニ」
Act.3 Evening(on the bed)
by 陵 桜華 さま
「腹が減った」
「この状態で言うなよ。実験終わったらメシ作るから」
この状態というのは、何年も気古してくたびれたトレーナーに半纏を羽織っているが下半身は褌のみで成長著しい象徴箇所が布越しでもその様子が分かる状態のたれ目の男に、Yシャツネクタイだが下半身はこれまた褌のみで同様に成長著しい様が見て取れる姿でベッドに組み敷かれている状態を言う。
「仕方あるまい。吹雪の中を帰って来たのだぞ」
「着用したまま挿入可能とか言って煽ったのはお前だからな」
口付けしながら、言い合いながら、ベッドを転がっていると、既に布がずれて褌ではなく毛布が尻に擦れるのが分かる。
「もう、的が見えちゃってるんですけど、伊達サン」
「命中できるか?」
「至近距離ですから」
「外すはずがないと?」
より的が見えるようにと、四つん這いで腰を突き上げてやると、射手が矢を袋から引き抜く気配が背中でした。
先端が濡れそぼった矢で的をつつかれると、焦れったさに太腿の付け根が震えた。
「外していいか?」
「何を?」
「褌だ」
臀部の布を的が見えるようにずらされているのだが、前はそのままなので、己が息苦しい。
「ダメ。穿いたままで挿入可能か、その実験だろ」
熱い息を短く吐きながら同居人が私をつつく。
「上は服着てて、下は下着ずらしてるだけって、なんか、犯してるみたい」
喋りながら口付けを交わしてベッドを転がっただけで、今日はろくに前戯をしていない。それなのに、いつも以上に熱が暴れるのは、珍妙な衣装のせいだ。
胸の先端が熱で痒くて掻きむしりたいのを悟られて、同居人に腕を捕られた。
「俺だってギリギリなんだからさ。自分だけ楽すんなよ」
まだ、的をつつくだけだ。
「早く、射抜け。馬鹿者」
更に腰をつきだして、的を近づけやるが矢は入ってこない。
「半纏脱いでいいか。流石に暑くて」
ふわりとベッドサイドに半纏が落ちた。
と、同時に矢が的を突き抜けて一気に再奥まで突き刺さった。
腰骨を掴む指に力が入り、もっと奥まで入らないものかと試みているのが分かる。もう奥までねじ込んでいいるのに、限界を超えて侵入しようというのか。
「っあ。そこまでしか、っ」
「入らない?」
アクリル製の毛布は温かく洗濯をしても早く乾くのはいいが、吸湿性があまりないので、こういう時に汗を吸い込んでくれず、突っ伏した顔がべたつく。
破裂しそうな程に己が熱を持って膨張しているというのに、矢尻をぐるぐると中で回転させるだけで一切触れようとしない。そのくせ、私が自身を慰めようと手を伸ばすと、爪が食い込むほど力を込めて腰骨を掴んでいた手で阻害するのだ。
それならばと、私は背中と下腹に力を込めた。
同居人は私が何をするつもりか不思議に思ったのか、腰を掴む力を緩めた。高々と突き上げられていた腰が自由になった私は、乱れた敷毛布に発熱するそこを腰を振って擦り始めた。
「犯されてるのに、オナニーするって、どんだけエロいんだよ」
何とでも言え。
貴様が、触れないから。
貴様が、次の矢を打たないから。
「そんなに動かれたら、抜けちまうだろ」
同居人は慌てて私に多い被さると、抜けかかった矢を入れ直した。と、続いて、私が待ち望んだ律動の波動がやってきた。
何度味わっても、堪らない。
二人して熱に浮かされた息を吐きながら、腰と腰をぶつけ合うと、中心が破裂しそうな感覚以外は脳味噌がとろけて何も考えられなくなる。
若い頃よりも、回数も時間も減ってきたが、絶頂の度合いは年々増しつつある。
ビクビクと私の中で蛇がのた打つ感覚がして、私の中心も同時に破裂した。
ふーっと長い息を吐き、ぐったりと体を重ねたままベッドに横わたるこの時間が好きだ。
「腹が減った」
「今夜は湯豆腐です」
(終)
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