当麻&征士 Love Valentine 2014



So Hot,Chu Not!

by 風宮 香







「いてっ……」


正確には、痛いだけではなく、ヒリヒリもしている。


征士の上唇の裏をなぞろうとした舌に違和感があった。
いや、唇に割って入れるよう舌を挿しこんだ時に、すでに痛かった。



「どうした?」



珍しく自分から離れた当麻が、しかめっ面をしている。



「火傷……したらしい」



夕食を軽くすませてから。
ブランデーと一緒に、チョコレートフォンデュなる物を二人で食べた。
フォンデュ鍋等の道具一式の頂き物があり、一回ぐらいは使わないといけないという経緯と。
今日が2月14日であるから、ちょうどいいだろうという理由で作ったのだった。


その時のチョコレートが、熱すぎたのだ。
いや、冷まさずに口にいれた『いらち』な性格が災いしたのだろう。



「舌を、か?」


「ああ、ひりひりするわ」



甘いチョコレートを食べた後は、甘ったるいベッドの時間。
今日はそんな過ごし方が似合う、バレンタインディ。

当麻と征士もご多分に漏れず。
夜着を肌蹴させながら、口づけを交わし始めたところだった。

さあ、これからがお愉しみだと。
舌を縺れるように絡ませ合おうと、互いに唇を開きディープキスに酔い始めようとしていた時に発覚した―――。


キスが殊更好きだろうなぁと思われる恋人を知っているので。
当麻は、己の不注意に『やっちまった』と困り顔で反省する。


キスなしでもいいだろうかと、ベッドに横たわったままの征士を見ると。
腕が伸ばされ、覆い被さるようにと引っ張られた。
そのまま、抱きしめられる。


特別なイベントの日だし、このまま続行できるのかと。
一瞬浮かれたが、耳元で告げられた台詞は逆だった。



「それは残念だな。今日は止めておこう。挿入するだけのセックスは好まん」


「へ?」


「当麻の舌で舐められ濡らされると、たまらなく気持ちがいい」



普段絶対言わない台詞は、こんな時だけ口から出てくるのだ。
しかも、妙に臨場感たっぷりの吐息交じりで、思い出させるのには十分だった。


確かに。
耳元や乳首にしゃぶりついた時の震えようは、存分に快感を表わして。
舌同士を絡ませると、いやらしい水音を立てるほどに夢中になって求められる。
思い返すと、目眩がする程に欲しくなってくるのに……



「あの感覚が味わえないのなら、また今度……治ってから」


「他でがんばるから、だめ?」



当麻の言葉は無効だと言わんばかりに。
さっきまで当麻を抱きしめていた腕は、外され。
肌蹴た夜着を、征士はさっさと直し始めていた。



「キスが出来ないのは味気なない。一週間もすれば治るだろう」



征士の上で未練が残り動かない当麻。
彼のボタンにも征士は手を伸ばし、填め始めた。
強制終了に入っている。


不満やるかたない表情のままの当麻に。
征士が「当麻…」と笑いかけ。


まだ、そばにある唇に、自分の唇を重ねた。


先程とは逆に、征士が当麻の口蓋をなぞり。
次いで、いつもよりザラリとした舌を絡めて、吸い上げる。



「!」



途端に、痛みで当麻の眉間には皺が入る。



「無理だろう?」



征士に諭すように言われ、当麻は諦めるしかなくなった。




―――治ったら、覚えてろよ




今宵の続きは1週間後、らしい。


(終)


べろちゅうになってないかもww

企画はじまりました!遊んでやって下さい!(風宮香)


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