征士&当麻ecret Valentine 2014



● Secret Parcel delivery service −秘密の宅配便― ●
by 風宮香




ピンポーン


インターホンの音が聞こえたので、寝転がっていたソファから立ち上がる。
時計をみれば、夜の九時。
普段なら征士が応対してくれるのだが、残業で遅くなると連絡があった。
一人しかいないのだから、仕方がない。


当麻がインターホンの画面を覗き込むと、見覚えのある宅急便の制服が見えた。

「伊達さまにお届けものです」と聞こえたので、マンションのエントランスを解錠すると。
ほんの数十秒で、今度は玄関の呼び鈴が鳴った。




玄関先で、伊達の方のシャチハタを押して荷物を受け取る。

妙に軽い荷物で。
外側の伝票には『精密機械:リチウム電池は入っていません』と明記されている。

バレンタインディの前日なんだから誰からのチョコかお菓子だろう――。
と思っていた当麻は、正直『食いもんじゃないのか』と落胆した。


次に、違和感にとらわれる。

征士はあまり通販をする方ではないし、ましてや精密機器なんて興味なさそうな物が届いたのだ。
機械関係の購入をするなら、詳しい自分に相談があるだろうと思われるのに、それも無かった。

しかも、精密機械と書かれた箱の大きさと、軽すぎる中身のアンバランスさ。

更には、きっと征士が、自分が受け取るはずだったのだろう夜間指定便。



様々な情報と知識から考えると。



と、いうことは。


もしかして。


中身は別の物?



よくある『精密機器』名目で入っている物の代表格と言えば。



――アダルトグッズか?



今まで征士がそういった物を通販した事はない。(当麻が認識している範囲内で)

征士が自分で楽しむ系(アダルトDVDとか)ならば、どんなジャンルが入っているのか興味があったし。
グッズなら身の危険性から無視は出来ない。
……何かしらの道具が入っていた場合、使われるのは十中八九が当麻なのだ。

しかも、DVDなどは、当麻がいるからいらないと常々言っているし。
グッズに関しても自分の身体で悦ばせたいと言いきっている征士なのだ。
『自分の身体で』と言っていたヤツが使いたくなるほどのグッズであるのならば。


―― そりゃ…よっぽど…………やばいだろ


好奇心半分。危機感半分。
いや、好奇心は5割でも、危機感10割!


当麻は遠慮なく箱を開ける事にした。


箱の中身が音がしない事から、箱の下部に固定されているだろう。
と、言う事は裏面から箱は開けられない。


丁寧に、表側から開けるしかない。


開けたとばれたら、征士にこっぴどく怒られるのは分かりきった事だ。


そうっとガムテープを剥がして、箱を開けてみる。



と。



中には小さな箱が、透明ビニールにラップされてダンボール箱の底に固定されていた。


正方形のその箱は。
男性の裸体写真が背景となり、【Chocolate Under】と大きく書かれている。




その下にある小さな文字も、しっかり読めた。

"Lickなめる"
"Meltとける"
"Edibleたべられる"
"Lingerieランジェリー"



つまり―――――食べられるチョコレートの下着。



明日のバレンタイン用として、征士が通販したのだろう。
たぶん、いやきっと、帰宅時間に合わせて配達させて。
当麻には気づかれないまま、征士が自分で受け取るはずだった、チョコレートグッズ。



――さて、どーしようかな…



直感が正しかった事と、アドバンテージを握っている感覚に。


当麻は、思わずにやりとした。




(続)



ついったーで出回っていた例のアレです(笑)

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企画始まりました!
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(風宮香)

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