■ 年末の帰省  ・・・ 同居の報告に・・・。




「当麻は久しぶりの日本の正月だな」と言いながら、年末年始の予定を聞かれて。
「いや、特に予定はないよ。あの親にとっては、俺がどこにいたって関係ないって感じ?」
「では、共に仙台で過ごそう」

そんな会話があったのは、先月だったっけ。

4年ぶりに伊達家の門を潜って、征士の家族に挨拶を済ませた。

早速に、伊達家の面々と夕食を共にしながら、今回の目的を果たす。
社会人になるこの春から、一緒に暮らそうという話になっているから。
その報告。

「社会人になったのに、親がかりでは…と思うので、春には今のマンションを引き払います」
「あと、二人でシェアした方が、安上がりなんで。立地のいいところを安く借りれます。」

二人とも今は親名義のマンションにそれぞれ住んでるから、「自立する」との名目と。
「一緒に住んだ方が経済的」っていう、建前で。
もっともらしい理由になっただろうか。

本当は、同居よりも同棲って表現が近いのに。
大っぴらにはできない関係。
まだ、双方ともに親には知らせていない。し。知られていない。
(もしかしたら、勘の鋭い女性陣は気づいているかも・・・?)

いつかは、言わなくてはいけない時が来るとは解っているものの…。
まだ、その時期ではないとお互いに思う。

だから、今回は友人同士の立場での報告なのだ。
馬鹿正直な征士にとって、嘘は辛いんじゃないか。とも心配したけど。

「当麻といるために必要であるならば」主義を曲げるのは厭わないとか、平然と告白され。
(っていうか、言える時が来るまで片目を瞑るって感覚だろうけど)
「いざとなったら、ばれてもかまわない」ぐらいに、惚れているとも言われ。
それ以上は、突っ込みようがなかった。
自分には、もちろん、異存はないんだから。

祖父さんにも、ご両親にも、諾と軽く許可を受け。
何事もなかったように、年越しそばまで出た食事が終わった。



そして、その後は、二年参りへ。
除夜の鐘がなる中、近くの氏神様への年始の挨拶。
たぶん、征士にとっては毎年の事。
一心に祈っている征士を横目で見て。
何を願っているかは、だいたい想像つくので、聞かないけど。

そんで、俺はと言うと。
普段から神頼みはしない主義だけど。
何にもなく済んだ同居報告に、思わずお礼を言って帰ってきていた。
やっぱり、少し緊張していたのかも・・・。



後は、もう眠るだけで。

「お部屋はどうするの?客間?」と出かける前に征士のお母さんに聞かれたから。
「同じ部屋でいいです。お気遣いなく」と答えて。
高校生の時に遊びに来た時同様に、征士の布団の横に寝るつもりだった。

だから、征士について部屋に入り。
もう、1時を廻っているから。
大人しく眠ると思っていたのだ。



なのに。



「おい!」

隣に寝るはずの征士が、布団に侵入していているのを咎めるが、大きな声は出せない。

「この状況でシようとするな!」

「以前は、この状況でシていたではないか」

以前とは、高校生の時の事。
中々会えないから、どんな状況でもお構いなかった。
実際10代と、そうゆうのが止まらない年齢でもあったし。

今は。
少しだけ大人になったし、無理にここでシなくてもいいのだ。
帰れば、誰に気兼ねなく、スル事もできる。
こんな気兼ねだらけの場所でシなくても!

何よりもの心配は…。
経験を重ねた結果、慣れて感度が高まり―――かなり声が高く上がってしまうのだ。

「でも、今はやばいって」

大きな声で、大きな動作で抵抗できないからか。
征士は、俺の意見は聞き入れるつもりはないらしい。

上からのしかかられ、逃げられないようにポジションを取られ。
言葉を塞ぐように、唇が降りてきて。
応えるようになるまで、舌での懐柔が続けられる。

「新年の挨拶は、きちんとしないとな」

台詞はまともだけど。行動はまともじゃない。

言いながらに、ズボンに手を入れ、弄られる。
片方は男の象徴へ、もう片方は征士を受け入れる場所へ。
用意してもらったパジャマのズボンはゴムだから、忍び込んだ両手は思いのままに動く。
そんで、弱いところを優しく慰撫されて。遠慮なく刺激されて。

「声は出すなよ」

うなじに口づけられながら。囁かれる。

「ぅ……勝手な……事を…」

そのまま、背後から抱きつかれて。硬くなった征士を押し当てられ、意図を告げられる。

互いに下肢しか露わにしていない―――何があっても、すぐ取り繕えるように?

それが即物的で、性急で。普段にない行動に、どきりっとしながらも。

息を吐きながら、征士を待ち受けて。

「ん…」

いつもより解されていない箇所が、キツイ。

余計に感じちまう…。

「あ……や…ばい……んぁ……」

近くのタオルらしき布を、噛み咥えて。

互いに声を抑え、無音に近い息使いだけが耳に届き。

どことなく、淫靡な感じがする。

気づかれないように、見咎められないように。ひそめて。

声を出した訳でもないのに、征士の笑みを首筋で知る。

――― イヤな…予感…

「はっ」と、ワザと強く突いてきて。

――― …!!!

声に出せない快感が、身体の中で反射して、熱くなる。

不自然に、身体がのけぞって……。

「少し興奮するな…」とか言いながら。

征士は、2度3度と繰り返すと―――やめた。

困らせない程度にかえて、動き続ける。

その手のひらの中で、高まる雄を愛撫されながら。

ゆるい波打つ快感に身をゆだねて。

徐々に、のぼりつめていく。

「はぁ」「あぁ」と同時に声を出して、終わりを迎える―――。



たぶん、昔なら、こんなもんだったのかもしれない。

もっと深い快感を知っているから、正直、物足りなくて。

何か少し…不完全燃焼…。

征士をみると、不敵なって感じの笑みを浮かべて。

「物足りないか?」
「ワザとか!!」

「静かにしろ。そういう関係ですとこの家で宣言したくないのだろう」

だから、手加減したのだ。と平然っと言いやがった。

「お楽しみは、帰ってからな」

「ウルサイ!!」

そのまま不貞腐れて寝ようとしたら、笑いながらに抱きしめられた。




翌朝。

「実は、卒論の追い込みで…」

と、本当だが、緊急性の薄い理由を征士がもっともらしく口にして。

一緒に車に乗り込む。

さっさと帰りたい。

それは、どっちも同じ想いで、目的で。

――― 気兼ねなく、愛し合いたい

本当の姫初めは、これから・・・。



END



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我慢しきれなくて、どっかのホテルに寄り道してたりして〜(笑)

2011.12.30 UP
 by kazemiya kaori