■ He bought a great bed  ・・・ お引越し当日(3月)。「素敵なベッドを買いました」





「なぁ、ベッド運び込む時、お前に任せていい?」

「構わないが・・・。何かあったか?」

ピンポーン
その時、丁度マンションのインターホンが鳴り、「UOTIES家具です」と荷物が到着した。




いよいよ新居も決まり、引越しの初日。
まずは、新しく買った電気製品とリビングのソファセットやベッドが運び込まれる予定で。
午前中に電化製品は届いており、午後になった今、ソファとベッドが届いた。
双方の既存の荷物の運び入れは明日というスケジュール。

午前中は、何食わぬ顔でいたのに。
急に、「無理かも…」とやや不貞腐れる様な、照れるような言葉を言って。
先程の「任せる」発言が、飛び出してきた。
そのまま、当麻は隣の部屋に、入っていってしまった。




男二人の家に、クイーンサイズのベッドの搬入…って。
――― だめだろ。

いや、男二人の部屋とは限らない。
(どっちかが、お手伝いとか。)
――― でも・・・。俺には、征士みたいの平然としていられない…。

当麻は隣の部屋に、呼び鈴の音と共に駆け込み、壁に寄りかかって座った。



しかも、想像しなくてもいいのに。
頭の中で、あるシーンが浮かんできて、消えない。

ベッドというと。

ベッドの上で。

脚を広げ膝を立て、その間合いに征士を受け入れる瞬間。
無防備な程に、露わになる身体の奥。
自分の性としてはあり得ない羞恥。
既に知っている存在感への畏怖。
―――なのに、それらを全て超えるほどに、欲して待っている自分。


侵入しようとして、征士の先端の触れる熱さ。
真剣な眼差し。
脚を抱える腕に、入る力。
―――止まらない征士の欲に、歓喜する自分。


その一瞬が、今日届くベッドでも、刻まれる、と思う。
しかも、幾度となく。


その搬入を見ているのは、身も世も無いほどに恥ずかしい。
他人が搬入する(って当たり前だけど)時に、どんな顔をしていればいいのか…。
征士の様に、厚顔無恥ではいられない――たぶん。


――― 今だって、想像しただけで…。


当麻は部屋の隅で膝を抱えて、俯き、動けずにいた。



廊下や隣から、運び込んでいるのであろう音。
場所の指示や、大きさからくる「よいしょっ」と言った掛け声。
ソファーもベッドは大物と言う事で、物音が続き。
しばらく後に、「ありがとうございました」との声で帰って行ったのを知る。

なのに、動けない。
恥ずかしさと…思い出していたせいで、下肢が熱くなってしまっていた。

「当麻?どうした?搬入は終わったぞ」

征士が入ってきて、下を向いたままの当麻に近づき、顔を覗き込む。
当麻がやや紅い顔をしているのを見て、シーツの中でみる表情を彷彿とさせられた。

なので。征士は…。
「さっそく使ってみるか?」
と提案した。







選んだ時は、カタログやネットで検索して、大きさや色や形を決めおおよそ、当麻一人が実物を確認しに行った。
現物の寝心地は、睡眠大王の当麻が確認して決めた。
(征士は、最後の卒業行事が忙しく、任せてしまっていたのだ。)

サイズをダブル以上にしたのは、良く動く当麻が落ちないように、との配慮もあってのこと。
部屋に入れられる大きさで、一番大きなサイズ。




搬入されたその日に、そのベッドの上で裸にされる。
真新しいシーツに、西日に近い午後の光が差し込んでくる。
そのために、当麻の綺麗な身体が隅々までよく見えた。

何度見ても触れたくなるほどに艶があり、触れてしまえばもっと欲しくなる。


口づけを交わすほどに、唇が濡れ、飲み込み切れなった唾液が端から溢れ、首筋まで伝う。
西陽の中での光景は、更に卑猥だ。


鎖骨に噛みつくように、口づけしながら。

いつもより、積極的に脚を絡みつけせてくる当麻に、訊ねる。


「何を想像していたのだ」


へへっと笑おうとするのに、胸を這いまわる長い指のせいで、表情を作れない当麻。

ただ、ひたすらに、感じている。貌。

はぁと快感の吐息を吐きだし。

それがイヤに淫靡で。

「…こうやっ……て、さぁ…」

絡めていた脚を広げ、膝を立てる。

先程、頭の中にあった事を、して見せる。

「征士を…受け入れる…ところ…」

他人が存在しなければ、そして、自身がその気になれば、当麻は快楽には素直だ。

想像していた分、早く欲しくなってしまっているらしい当麻。

少女の様に照れていた人物と、自分を煽る姿態との姿の落差に、どうしようもなく煽られる。

いつもと違う顔をしている様に感じ、ますます知りたくなり、欲しくなる。

「こう…か?」

「んんんんっ…………そぅ…」

当麻が望むままに、そして自分も欲するままに、奥に入っていく。

強く大きい刺激に、青い瞳に涙を滲ませながら。

存在と快感を受け入れる。

今までと違うスプリング――柔らかすぎず固すぎず――が、よりダイレクトに征士の動きを伝えてくる。

優しく、激しく、繰り返され。

ギシッギシッと小さい音が聞こえなくなるほどに、当麻が声を上げる。

「あ……あ……あ……あ……ぁ……ぁ……」

掠れるまで、嬌声を搾り取られる。

「いいベッドを選んだのだな」

首に腕をまわしてくる当麻にキスしながら、ベッドもベッドでする事も気にいった征士が呟いた…。





END



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きっと、ベッドのスプリングは、すぐダメにすると思う。
そして、次はウォーターベットでも買え!(笑)

2011.10.25 UP
 by kazemiya kaori