■ 秋はいい季節
秋はいい季節だ。
食べ物が美味しくなり、食いしん坊の笑顔が増えるのがいい。
その食いしん坊の誕生日があり、とても喜ばしい。
そして何より、スルのにいい季節なのだ。
夏は暑い…もちろんエアコンを使うが、基本的にエアコンの風が征士は苦手だ。
その時はかなり設定温度を下げるので、そのまま寝入ってしまうと身体に良くない。
冬は寒がりが、寒さを理由にパスを申し出る。
---すぐ熱くなるのに、だ。
春は、春眠そのままに寝入られてしまう。
起きないのをいいことに、寝たままの状態でシテみたが。
まぁ楽しい事は楽しいが、毎回では味気ない・・・。
そんな心配がいらないどころか！
少し物悲しくて人恋しい独特の雰囲気に流されて、愛しい人がすり寄ってくるのだから―――本当にいい季節だ。
触れ合う時間が格段に増える。
今も…。
先に眠っていた自分に、身体をくっつけて来てた恋人を抱きしめている。
少し眠い目をゆっくりと開けると、眼福。
まだ着込まなくていい気温だから、布一枚越しから見られる身体のラインにソソラレル。
自分よりも筋肉の少ない細身の体。
しなやかな動きを連想させる。
夏の直見もいいが、隠されるほうが卑猥だ。
今だって、チラリと見える鎖骨の窪みに吸い寄せられてしまう。
唇より先に、キスして肌を舐めあげ堪能する。
するりと忍ばせた手に触れる肌が、すべすべで気持ちいい。
更につつつ…と撫で上げながら滑らせると、「…んっ」と声が上がった。
そして、何より脱がしやすい。
パジャマ代わりのＴシャツとロンパン取り去ると、綺麗な肢体を披露してくれる。
なんで、こんなに欲しいと思うのだろう・・・。
顔を見つめると熱っぽくなった瞳が誘っていた。
本当に本当に、いい季節だ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
情事の後、まだ熱の燻る身体を離し難くて、抱きしめながら―――。
「秋はスルのにいい季節だな」と呟いたら、笑われた。
「やっぱ、人間って動物だよな〜。発情期おんなじだもんなぁ」
―――違う！！！
意思の疎通はなされなかったが、まぁいいか。
秋の夜中もさすがに眠くなってくる時間だ。
大切な恋人…当麻を腕に抱いたまま、征士は眠りについた。
END
もちろん、冬は冬でいい季節だとか言ってヤッてます.
２０１１．０９．１５ ＵＰ
ｂｙ kazemiya kaori