■ 11月11日   征当バージョン!レッドボックス!





仕事帰り。

打ち合わせ先から直帰する征士の目に止まったものがあった。
そこは、地下鉄からショッピングモールにつながっているスペースで。
よく、特産市とか季節の催事などをなっている場所。

ハロウィンも終わり、クリスマスにはまだ遠い日付の今日。
普通の日だと思っていたが、日本人は○○の日をつけるのが好きなのだろう。

そう思いつつも、お菓子好き、甘いもの好きの恋人を思いやって。
ついつい、レジに並んでしまった。

透けるレジ袋から覗く派手な赤いパッケージは、征士の外見とは恐ろしく釣り合わなかったが。
愛しい当麻のためならば、そんな事は気にならない。

っというか、もともと、その辺の感覚は薄らしく。

我が道を貫く。

その姿勢は、この様な時にも健在だった。





夕食後に、ソファでコーヒーを飲みながら。
テレビを見たり、本を読んだり。
ソファで、くっつきながらも各々が好きな事をやっている時間。

一度、征士は立ちあがり、買ってきたお菓子を取ってきた。

「どこで買ったんだ?」

スーパーなどでは売られていない、特大サイズ。

「地下鉄近くの催事コーナーで売られていた。今日は、この日なんだろう?」

まったく興味のない征士は、催事コーナーののぼりで知ったのだが。
お菓子大好きの当麻は、当然知っていたらしく「そうそう」と返事をしていた。

25センチ以上もある、ジャイアントポッキー

取り出して、口元に差し出すと、当麻がもぐもぐもぐと先の部分から食べ始める。
だんだんと短くなり、最後の部分は引っ張られて取られた。

2本目も、同じように食べられる。
無くなる度に、差し出して。

――― 獲付けとは、こんな感じだろうか?

どんどんと箱の中身が減っていく。

リズムに慣れたので、手のポッキーはそのままに。
見ていた雑誌に視線を戻す。

と、指先に暖かく柔らかいものが触れた。

ちゅっ。

先程までは、征士からポッキーを引っ張り最後まで食べていたが、今回は、最後まで食べ進み、征士の指に触れたのだ。

ぺろ。

舐められて。

気を逸らすと、かまえと言わんばかりに、ちょっとした悪戯を仕掛けてくる。

猫みたいな恋人。

微笑みながら、もう一本取り出す。

と。

「せいじ」

ワザと名前を呼んで、注目させられる。

なんだ?という表情でみると。

征士の持っているポッキーの先端を、ちろっっと舐める。

紅い舌で。

そのまま上下に舐めあげて、噛まずに咥えてみる。

上目使いで見上げられて。

「…誘っているのか?」

珍しい事もあるものだ。

「こんなに細くないだろ?」

「ふふん」と挑発的に笑う青い瞳。

「もちろん。実感したいのだろう?」

そう言って、抱き寄せて口づける。

唇からはチョコレートの甘い香りが漂ってきて。

夢中で味わいながら、もっと甘い身体に没頭していった。


END  


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ポッキーネタ。よくあーる、よくあーる(笑)

2011.11.11 UP
 by kazemiya kaori