Melts




「いい加減に起きろ!眼が溶けるぞ!」


平日の午前7時30分を過ぎると。
毎朝、容赦なく起こされる。

寒い寒い冬の朝でも関係ない。


「お前……体力あるなぁ……」


真夜中過ぎまで、愉しくも激しい運動をしていただろ?


重たい瞼を引きあげながら、傍らを見上げると。
かぁぁと赤くなる、征士が立っている。
以前なら、にやにやと見ていられたのに。
こんな風なやり取りも、慣れてきたんだろう。
すぐに平静を取り戻してしまった。


「お前とは、鍛え方が違うからな」


さらりと流されちまった。



確かに、征士は鍛えてる。
大学に入ってからも、厳しい部活で毎日稽古に励んでいる。
ごく稀に。弓を引く以外に運動していない俺とは、基礎体力が違うだろう。



って、納得しかかったけど。


待てよ。

昨夜は――――。





『……も………ぅ……ぁ………ぁ…ぁぁぁ………』
何度目か分からない程に極まってから、征士は気をトバシテしまった。

朦朧となった征士は、次第に声さえあげられなくなって。
揺らす度に涙だけが絞り出されて。
髪とシーツを濡らして。
流れ落ちる様が、月明かりで光る。

窓の外は、まさしく凍てつく夜なのに。
部屋の中は、欲情で熱くなって。
征士のナカは、もっと溶けるほどに熱くてーすっげぇヨカッタ。
で。感じるままに攻め立てた。
ひたすら与えられる快楽に、意識も身体もぐちゃぐちゃになって喘ぐ征士…。

ずっとその様を見ていたくて。
更に、頑張っちゃたもんだから。
体力的は、大変疲れた訳で。




つまりは。
『俺の方が圧倒的に運動量が大きかった』ってのが事実だろう。
口に出せば。
数時間前まで俺の肩先に力なく縋り付いてた腕で、思いきり殴られるから。


喉まであがってきた台詞を、飲み込み。
別の言葉で対応した。


「俺も鍛え方が違うから、眼は溶けないって」


眼は溶けないよなぁ。
だって溶けたら、昨夜みたいな征士が見えなくなるだろーミダレクルウセイジ。



心の中で呟きながら、体を起していると。


ゴンッ


自分の頭が、派手な音を立てた。


ニヤケていたんだろうなぁ。


結局、殴られてしまった。




END





ちょうど一年前の話ですが、ついったで『寝すぎて溶ける』話題が出まして。
遅く遅〜くなりましたがRIKOさんに捧ぐwww
(こんな『ネすぎて溶ける』えろ話なんか捧げられても困るでしょうけど〜あはは〜)


2014.01.11




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