欲シクナル夜
凄く。物凄く。
征士が欲しくなる時は――どんな時か。
仕事で忙しくてスキンシップが足りない時?
出張で触れるどころか顔も見られなかった時?
大きなミスをして落ち込んでいる時?
何気ない横顔が、妙に色っぽかった時?
もちろん。
それはそうなんだけど。
一つだけ挙げるとしたら。
前の夜の記憶が甘く後を引いてしまって、仕方がない時…。
素の肌を重ねる時は、いつも。
十二分にお互いを感じあって、終わるのに。
その夜はちょっと違った。
躰を離した後。
程よい疲労とは別に。
優しい予感が沸き上がってきたのは。
もっとよくなれるような。
もっともっと深く交じり合えるような。
胸の奥から何かに呼び掛けられるような感覚。
征士の躰も魂も。
今まで以上に、そばで強く触れられるからと。
だから。
もう一回いいかな、と征士の顔をみると。
彼は眠ってしまっていて。
起こすのが忍びなくて。
幸せそうに瞳を閉じている征士を抱きしめて。
無理やり意識を無に流し込んだ。
そんな夜の次の日は――たまらなく欲しくなる。
昨夜の予感を現実のものにしたくて。
それを、征士と共有したくて。
「今夜もか?」と呆れた顔の征士に微笑みかけて。
遠慮なく、強く抱きしめるのだ。
END
そうやって毎晩毎晩楽しんでいるといいと思うのです!
2017.08.03
kazemiya kaori
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